高校野球春季埼玉大会決勝は4日、大宮公園野球場で行われ、昌平が浦和学院を6-2で下し、秋春連覇を達成した。初回に2点、3回に4点を奪うなど、序盤の6点のリードを守り、昨秋決勝でも対戦した浦和学院を見事返り討ちに。県内無敗で夏の埼玉大会に臨む。
黒坂洋介監督(47)の下、近年の昌平高校は着実に力をつけてきた。東和大昌平(現昌平)から駒大、そしてシダックスで外野手として活躍し、2005年春に母校の監督に就任。2008年まで務め、会社員を経て2017年秋から再び昌平のユニホームに袖を通した。
昨秋、悲願の甲子園切符をかけて臨んだ関東大会。埼玉で開催されたこともあり、地元の1位校は準々決勝から登場するという「スーパーシード」にも恵まれた。しかし、清原和博氏の次男である勝児内野手(当時1年)率いる慶応(神奈川2位)に3-7で敗れ、センバツ当確とされる4強進出はならず。選考委員会でも校名を呼ばれることはなく、落選となった。
ただ、選手たちは一冬越えてたくましく成長を遂げた。エース左腕の渡邊俊輔(3年)は2回戦の叡明戦で2失点完投、準々決勝の狭山清陵で1失点完投。背番号23の1年生・櫻井ユウヤは3回戦の川口戦で5番・三塁で公式戦初出場し、4打数3安打3打点と活躍するなど、新戦力もうまくチームに溶け込んでいる。
近年は戦力補強にも力を入れており、渡邊、櫻井は栃木から、捕手の齋藤陽貴(3年)は東北楽天リトルシニア出身と越境留学で昌平に入学する選手も増えてきた。
2021年ドラフトでは吉野創士外野手が楽天からドラフト1位指名。日大3年の千田泰智外野手、駒大3年の角田連内野手も東都大学リーグで出場するなど、プロ、または名門大学に進み、活躍する選手が増えてきたことも人気の要因とも言える。
5月20日開幕の春季関東大会(神奈川)で昨秋初戦負けの鬱憤を晴らした後は、いよいよ夏の埼玉大会が控える。優勝候補の筆頭に挙げられるのは間違いないが、2季連続で昌平に苦杯をなめた浦和学院や、花咲徳栄が黙ってはいない。
特に花咲徳栄は横浜高校を辞めて転校してきたスラッガー・小野勝利の公式戦出場が解禁される。小野は横浜高校時代、1年夏から甲子園に出場した経歴もあり、中軸での出場となれば他校の脅威となる。昨秋3位通過で関東大会に出場した山村学園も虎視眈々と上位進出を伺う。
強敵揃いの埼玉の夏。1枚しかない甲子園への切符をつかむのはどの高校か。開幕が待ちきれない。