■早実・宇野真仁朗がチャンドラー社バットで春の都大会3戦連発 父の誠一さんが提供
高校野球では、今春センバツから低反発の金属バットが導入された。現場では「芯に当たれば以前のバットと飛距離は変わらないが、詰まれば打球が失速する」といった声が多く、指導者や球児たちは、対応に苦慮していた。甲高い打球音の割に、あまり飛距離が出ず、外野の守備が難しいとも聞く。もうすぐ始まる夏を前に、攻守でどの程度順応できてきたか、注目が集まるところだ。
早々に木製バットへ切り替えたプロ注目の打者もいる。早実(西東京)の宇野真仁朗(3年)もその一人だ。父の宇野誠一さん(市川リトルシニア監督)が、その経緯を教えてくれた。
「昨秋の都大会準決勝で関東第一に負けた後から、低反発バットで打ち始めたら、バランスが気になるということを言っていたので、じゃあ木でもいいんじゃないのという話をしました。それで、今年3月の練習試合で、最初の打席から木で打ったら感触がよかったみたいで、それからずっと使っていますね」
宇野さんは、大谷翔平(ドジャース)や、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)ら、メジャーの名だたる長距離打者が使用するバットを生産するチャンドラー社の日本代理店社長を務めている。その縁もあり、息子に汎用モデルを数本渡して使わせたところ、春の都大会では3試合連続本塁打を放ち、プロのスカウトを驚かせた。
「私の方も在庫を持ちながらやっているので、どういうバランスがいいの、なんて話をしながら、次に注文する機会があったらお前の分も買っておくからという感じで持たせています」
高校野球の規則では、滑り止めのスプレーを使用することが禁止されているため、グリップテープを巻いて対応しているという。
「普通のバットに巻くと太くなりすぎるので、ちょっとグリップの細いものに巻いています。普通にスポーツ店などで買ってきて、自分で巻いていると思いますよ。プロ野球を見ても、外国人を含めて結構多いですね。リザードスキンというメーカーのものが一番人気があると思います」
真仁朗は夏の大会を前に通算本塁打数も60を超えるなど、万全の状態で本番へと臨む。アピールしたその先には、将来的に目指すプロへの道も切り開けてくる。
「プロか大学か、どうするんでしょうね。ただ、ここ10年で、清宮くん(幸太郎、現日本ハム)や野村くん(大樹、現ソフトバンク)も直接プロに行っています。そこは、本人と和泉(実)監督さんが決めることだと思います」
親として、そしてバット代理店社長として。宇野さんは、真仁朗が迎える高校最後の夏をしっかりと見届ける。