12月10日。神宮球場で行われた「第4回くら寿司・トーナメント2023 第17回学童軟式野球全国大会ポップアスリートカップ星野仙一旗争奪」で、大阪の少年野球チーム「新家スターズ」が優勝し、全国約1440チームの頂点に立った。新家スターズは、今夏の「第28回高野山旗全国学童軟式野球大会」「高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」と合わせ、全国3冠の偉業を達成。昨年のマクドナルド・トーナメントでは準決勝で中条ブルーインパルス(石川)に逆転負けで涙を飲んだだけに、千代松剛史監督も、6年生らナインの成長ぶりに目を細める。
少年野球の戦い方は、日々現代仕様にアップデートされている。学童野球は2022年から、7イニング制を6イニング制に短縮、または1時間30分の時間制限を採用。ホームベースの大きさも全国大会で少年野球用から一般用に変更され、2023年度から全国一律で導入された。ホームベースの横幅が増えればストライクも増え、投手の球数も減少する。全国軟式野球連盟(全軟連)では、投手の肩や肘の負担を減らすため、1日の投球数を70球までに制限しているが、さらなる故障予防のため、今回のルール改正の踏み切った。
学童野球チームは全国でおよそ1万チーム。ダブルヘッダーを行わなければ、日程を消化することは難しい。ただ、時間や球数の制限があるために、待球作戦を指示したり、わざと時間を時間稼ぎを強要する指導者もいる。ルール改正が“悪用”されるのは、本末転倒に他ならない。もちろん、余裕ある日程が組めるのがベストだが、梅雨時は雨で試合順延もしばしば。夏休み中は炎天下の中で過密日程を消化しなければならない。極論ではあるが、イニング短縮や球数制限をするよりも、ダブルヘッダーを辞めた方が、子どもたちの体は守れるのではないだろうか。
メジャーリーグ同様、プロ野球でも投球間隔を時間で制限する「ピッチクロック」の導入が検討されている。試合時間が長いことが、野球離れの一因との意見もある。ただ、野球には元々時間や球数に「制限」など存在せず、「間」を楽しむスポーツだったはず。色んなところで「制限」がかけられ、「間」が楽しめなくなりつつある今、野球はどこへ向かおうとしているのか。もしかしたら、投手すらいなくなる時代がくるかもしれない。