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今永(左)と写真に納まる恩師の井上勝也さん(井上さん提供)

■恩師の井上勝也さん 教え子たちに「今永はこういう練習をしていたぞ」

 米大リーグ・カブスの今永昇太投手が7日(日本時間8日)、本拠地のリグリー・フィールドで行われたパドレス戦に先発。メジャー自己最長となる7回0/3を投げ、8奪三振2失点に抑える力投を見せたが、勝敗はつかなかった。

 それでも、ここまで7試合に先発して5勝0敗、防御率は驚異の1.08。半袖姿でマウンドに上がり、相手打者をなで切りする姿に、ファンのボルテージも日を追ってヒートアップしている。

 直球で空振りが取れるのが今永の強みだ。MLBのデータサイトによると、毎分2600回転を超えることもあったという。プロ野球の平均で2200回転、メジャー平均で2283回転ということを考えると、そのスピン量の凄さが分かる。

 ツーシームやカットボールなどの落ちる球に合わせて、打者はバットをすくい上げてフライやライナーを打つことがトレンドの時代。今永のように高めへフォーシームを投げる投手は稀有な存在だ。打者も、今後は対応を変えていく必要性があるだろう。

 その世界最高峰の質を誇る直球を生んだ根源は、どこにあるのだろうか。今永は永犬丸(えいのまる)中(福岡)時代は3番手投手と目立った成績はなし。地元の北筑高入学時も、推薦入学組の中で一番体力がなく、最速も110キロほど。ただ、まとまったフォームから放たれたボールは、糸を引くように伸びていったという。

 そこで、当時の監督だった井上勝也さんは、「背中をつくる練習」を今永に課したという。特徴的な左腕のしなりを最大限に生かすため、ウエート器具などは使わず、鉄棒で懸垂、丸太を持ってスクワット、タイヤに綱をつけ、それを腕で引き寄せたりと、原始的な練習で背筋を主とした体幹周りや下半身を強化させた。

 そうした地道な努力が実り、3年夏には144キロを投げるまでに成長。プロも注目する左腕となったが、駒大へと進学し、2015年ドラフト1位でDeNAに入団することになる。その後の活躍は推して知るべしだ。

 現在は香住丘高(福岡)で監督を務める井上さんは、選手たちに「今永はこういう練習をしていたぞ」と事あるたびに話をするという。

「そういった方が、生徒たちには効果があります(笑)。あれだけ活躍していますからね。生徒といってもまだ子どもなので、単純と言えば単純です。野球をやっている人たちだと、意欲的にはなるんじゃないかと思います」

 活躍の舞台を米国に移しても、その輝きが色あせることはない。今永の一挙手一投足を、誰もが注目している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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