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駿台甲府の頼れる主将としてチームを引っ張る井上和輝捕手

■高校通算20発 井上和輝主将「みんながびっくりするような結果を見せる」

 駿台甲府(山梨)に、注目の捕手がいる。主将を務める井上和輝捕手(3年)だ。扇の要にふさわしく、チームの先頭に立ってリーダーシップを取り、ナインを鼓舞する。残りわずかとなった高校野球生活の集大成を、悲願の甲子園出場で飾るべく、何気ないワンプレーにも思わず力が入る。

「3年生は夏の大会が最後になるし、絶対に甲子園に行くんだという、強い気持ちを持ってやっています。下級生も試合に出ているので、しっかりと声をかけてあげながら、プレーでもチームを引っ張っていきたいと思います」

 昨夏は、喜びと悔しさの両方を経験した。山梨大会準決勝。センバツ王者の山梨学院を10回タイブレークの末、9―7で撃破し、34年ぶりに決勝へと進出した。春夏初の甲子園まであと1勝…。ただ、その1勝が遠かった。決勝で東海大甲府に2-6で敗れ準優勝。銀メダルを胸に、これまで甲子園を目指し、敗れてきた先輩たちのためにも、必ずやあの夢舞台に立つことを心に誓った。

「決勝のあの雰囲気の中で勝つために、一つ上の代を超えることを目指し、日々レベルアップするということを目標にここまでやってきました」

 井上は町田玉川学園少年野球クラブ(東京)で野球を始め、6年時には東京ヤクルトスワローズジュニアにも選出。中学では、松井裕樹投手(パドレス)ら多くのプロ野球選手を輩出している青葉緑東リトルシニア(神奈川)で強肩強打の捕手として活躍した後、1学年上の平井智大投手(中央大)が進んだ駿台甲府の門を叩いた。

「先輩が行っていたというのと、あとは寮生活で自立して、親への感謝や大切さ、1人で全てやるという大変さを味わうために駿台甲府を選びました。親からは寮生活はできないと言われていたんですけど、もう山梨にいったらやるしかないので(笑)。時間の使い方だったり、本当に長く練習に時間を費やすことができたので、そういう部分ではここにきて変わることができたと思います」

 駿台甲府では1年春から外野手で試合に出場し、同年秋の新チームでは、異例の副主将に任命。慣れ親しんだ捕手に戻り、平井や三神柊太(明治学院大)、末木信幸(東京情報大)ら好投手とバッテリーを組み、2年夏は甲子園まであと一歩のところまで迫った。

 しかし昨秋、最上級生となり、主将として臨んだ山梨大会。準決勝で再戦した山梨学院に1-8と7回コールドで敗れ、センバツの道は絶たれた。

「昨年の秋は、チームとしてうまくいかない部分が多く、全ての面で実力が劣っていました」

 まずは体格面で他校に負けない体を作るため、冬の期間は、チームで筋トレや食トレを徹底。井上自身の体重も5キロ増え、1メートル83センチ、93キロと堂々たる体躯へと変貌を遂げた。

木製バットで力強い打球を放つ

 肉体改造の成果はすぐさま結果として表れた。今春から導入された低反発バット対策として、木製バットで臨んだ今春の山梨大会で、山日YBS球場の両翼92メートルある右翼フェンス直撃、さらには流して左翼フェンスを直撃する打球を放つなど、関係者を驚かせた。

「一冬超えて、春の大会で試合を重ねるごとにレベルアップしていったというか、少しずつ上の代に近づいてきて、徐々に打てるようにもなってきましたし、自分たちのやりたいことができるようになってきました」

 大谷翔平選手(ドジャース)や吉田正尚選手(レッドソックス)に憧れる左の大砲が、これまで積み上げてきた通算本塁打は20発。豪快なフルスイングに磨きをかけ、夏までにどれだけ上積みできるか、楽しみでならない。

「最終的にはプロを目指してやっているので、自分の中でハードルを上げて、夏も木製バットでいこうかなと考えています。悔いが残らないように一生懸命やって、みんながびっくりするような結果を見せられるように頑張ります」

 山梨の夏で、山梨学院、東海大甲府、日本航空以外の優勝は、2013年の日川までさかのぼる。井上を中心にまとまりを見せる駿台甲府が、今年こそ「3強」に風穴を空け、甲子園出場の悲願をかなえる。

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