第72回全日本大学野球選手権は11日、神宮球場で決勝が行われ、青学大(東都大学)が明大(東京六大学)を4ー0で下し、05年以来、18年ぶり5度目の頂点に輝いた。
2012年大会の早大ー亜大以来、11年ぶりとなる東京六大学vs東都の頂上決戦は初回から試合が動いた。青学大は4番西川(3年、龍谷大平安)の左翼線二塁打、5番松本(2年、盛岡大付)の一ゴロの間に2点を先制すると、3回2死一、三塁から5番松本が右前適時打。さらに4回、中野(4年、大阪桐蔭)の右翼線二塁打で加点し、明大先発の村田をノックアウトした。
先発の常廣(4年、大分舞鶴)は最速152キロの直球と切れ味鋭いカーブを武器に明大打線を7安打完封。最後の打者を投ゴロに仕留めると、ナインの歓喜の輪でもみくちゃになった。
「想像もしていなかったことなので本当にうれしい。6回くらい投げて替わるかなと思ったんですけど、序盤に4点もらって楽に投げられました」
強打の青学らしい先制パンチだった。決勝まで全3試合で2桁安打を放つなど、圧倒的な打力で勝ち上がってきた。今大会は過去優勝4度、準優勝1度を誇るが、2015年から「戦国」と呼ばれる東都大学リーグで2部落ちを経験。2019年1月より安藤寧則新監督のもと、再建を図り、2021年春からようやく1部に復帰した。
そして1部復帰から2年が経過した今春リーグ戦。開幕2戦目から10連勝で2006年春以来、17年ぶり13度目の優勝を飾り、大学野球選手権へと乗り込んできた。
打力ばかりに目がいくが、投手力も全国随一だ。0.82でリーグ最優秀防御率を獲得した松井(4年、県岐阜商)、0.85で2位の下村(4年、九州国際大付)、そして常廣も6位の1.44。4年生右腕3人とも3勝0敗と抜群の安定感で戦国東都を勝ち抜いた。
昨秋神宮大会チャンピオンの明大を投打でねじ伏せ、高らかに名門復活の凱歌を挙げた。安藤監督は優勝インタビューで涙を見せ「いろんなことがあって…。本当にみんなに感謝です」と選手を称えた。
OBの小久保裕紀さん(ソフトバンク2軍監督)や井口資仁さん(前ロッテ監督)、石川雅規(ヤクルト)らが築いてきた伝統を後輩へと紡いでいくために…。春秋連覇へ、歩みを止めない。