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阪神の村上は奈良・智弁学園時代、センバツ優勝も経験した

 阪神の村上頌樹投手が23日の中日戦で待望のプロ初勝利を挙げた。二塁すら踏ませず、中日打線をわずか2安打、終わってみればプロ初完封のおまけ付きで、チームを首位タイへと導く圧巻の投球。12日の巨人戦で7回を完全投球ながら降板した右腕は、この日も5回1死まで1人の走者を許さず、2試合をまたぎ、11イニング連続〝完全投球〟は、記録にこそ残らないが、まさに圧巻の一言。ここまで3試合に登板して防御率は0.00と、岡田阪神に頼もしい〝村神様〟が誕生した。

 プロでは3年目にしてようやく初白星と苦労人のイメージが強い村上だが、アマチュア時代の戦績は目を見張るものがある。奈良・智弁学園時代の2016年センバツにエースとして出場し、決勝の高松商(香川)戦では延長11回までを1失点に抑え、その裏には自らのバットでサヨナラ二塁打。全5試合を1人で投げ抜き、防御率0.38で智弁学園を初の甲子園優勝に導いた。

 東都大学リーグに所属する東洋大学に進学後も1年春から登板。3年春には6勝0敗、防御率0.77でMVP、最優秀投手、ベストナインも獲得し、春季リーグ4連覇に大きく貢献するなど、通算12勝を挙げ、2020年ドラフト5位指名で阪神に入団した。まだ24歳。西純矢らとともに、阪神投手陣の屋台骨を背負っていく可能性は十分に秘めている。

 すっかり〝完全男〟のイメージが定着した村上だが、当然のことながら、四球や失策、振り逃げすらも許されない完全試合をやってのけるのは容易なことではない。その証拠に、甲子園では過去2度しか達成されていない。

 一人目は、1978年センバツに出場した前橋高(群馬)の松本稔投手。1回戦の比叡山(滋賀)戦でわずか奪三振5ながら、変化球を低めに集め、わずか78球で快挙達成。一躍時の人となった。

松本は筑波大を卒業した後、監督を務めた群馬の中央高(現中央中等)、母校の前橋高をそれぞれ甲子園に導き、現在は桐生高で指揮を執っている。

2人目は1994年センバツに出場した金沢(石川)の中野真博投手。1回戦の江の川(島根、現石見智翠館)戦で、松本と同じく、打たせて取る投球で奪三振6ながら99球と少ない球数で16年ぶりの偉業をやってのけた。

中野はその後、青山学院大に進み、東都通算6勝。東芝で現役、コーチを務めた後、現在は青山学院大コーチとして後輩たちを指導している。

 実は筆者も立大時代の2000年秋、東京六大学リーグで史上2人目(当時)の完全試合を達成した上重聡投手の後ろを守っていたことがあるのだが、それはまた折りを見て話をしようと思う。

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