■國學院久我山で2021年センバツ4強…松本慎之介が立大打線を1回零封
東京六大学春季リーグ戦第7週第1日が25日、神宮球場で行われ、東大の1年生左腕・松本慎之介投手(國學院久我山)が堂々のデビューを果たした。
松本は立大との1回戦で、3点ビハインドの8回に登板。1死から失策で出塁を許すも、続く柴田恭佑(東明館)を二ゴロ併殺に打ち取るなど、わずか9球で無安打無失点。チームはそのまま0ー3で敗れ、今春9連敗となったが、26日の2回戦、そして今秋に向けて、ルーキー左腕の好投が収穫となった。
甲子園での経験が、神宮のマウンドでも生きた。國學院久我山(西東京)時代は、2022年春のセンバツに出場。130キロ後半の「ムービングファーストボール」を武器に、背番号10ながら3試合に登板、同校歴代最高となるベスト4進出に大きく貢献した。同年夏の西東京大会では背番号1に昇格。恩師の尾崎直輝監督は、松本を「努力の人間」と評する。
「彼は中高一貫からきたの子なので、ここ(國學院久我山)で6年間勉強して、特進クラスにあたるSTクラスにいました。1年生の時はBチームにいたりして、ずっと主力だった訳ではありませんでした。でも、芯があって、積み重ねのできる、すごく頼りになる選手でした。自分の目標もはっきりしていますし、その目標に向かって努力ができる子だなというのが印象としてあります」
松本の秀才ぶりを物語るエピソードがある。現役で他の国公立大に合格も、入学せずに浪人。尾崎監督に「1年間勉強して東大にいきます」と宣言したという。驚くべきは、予備校に通わない「宅浪(自宅浪人)」を選択し、週1のペースでジムにも通いながら勉強を続けたことだ。
そして今春に東大の理科二類に合格し「赤門軍団」の一員となった。野球部から東大に合格したのは、2017年の土井芳徳さん以来、2人目の快挙だという。尾崎監督は「東大と言う場所をつかんで、また神宮の地に戻るというのは、凄いことです」と教え子の快挙を称える。
東大は甲子園経験組の梅林浩大(静岡)と、別府洸太朗(東筑)が卒業。大舞台での経験がある松本の入部は、他選手にとっても心強い限りだ。今後の活躍に注目が集まる。