第105回全国高等学校野球選手権福岡大会準決勝が25日、久留米市野球場で行われ、東筑が希望が丘に逆転勝ちし、甲子園出場を決めた2017年以来、6年ぶりに決勝進出を果たした。
東筑は初回、遊ゴロの間に先制を許すも、動じない。3回、尾形篤志(3年)の適時二塁打で追いつくと、5回には敵失で勝ち越し。そして2-1で迎えた8回、大越塁(2年)の右前適時打で待望の追加点を挙げると、続く安田創磨(2年)の2点二塁打などでこの回5点を奪い、試合を決めた。
今大会初先発の安田は9回に2点を失い、あと1死のところで降板するも、最後は7-4で逃げ切った。
ノーシードからの進撃はもはや“お家芸”だ。2017年、そして夏5回目の甲子園出場を果たした1996年も春季大会などで結果が残せず“無印”で臨み、聖地への切符を手にした。どこかあの時に似た雰囲気を感じているオールドファンは少なくないだろう。
1996年夏の福岡大会は2回戦でセンバツに出場した小倉東を相手に9-0で7回コールド勝ちする番狂わせを演じ、波に乗った。2017年は県大会で九産大九州、福岡工大城東、西日本短大付、そして決勝で福岡大大濠と福岡南部の私学強豪をなぎ倒した。そして今夏5回戦。春の九州大会で4強入りした西日本短大付を13-4と打力で圧倒した試合は、もはや波乱などではなく、順当勝ちのようにさえ思えた。
私学に勝たないと甲子園にはいけない––。青野浩彦監督が日頃から言っている言葉だ。ただ、練習時間や設備面では私学のそれに遠く及ばない。県下でも有数の進学校のため、試験前や試験中は原則として練習禁止。授業が朝課外から7限目まであることもあり、遅い時は17時頃から練習スタート。20時には完全下校のため、19時半には練習を終え、片付けをしなければならない。
グラウンドも野球部専用ではなく、ラグビー部が左翼付近で練習を開始すれば、内野でしか練習はできない。ただ、バックネットに向かって打撃練習を行うなど、こうした環境をハンデととらえることなく、プラスに変えることで、私学と渡り合ってきた。
夏7度目の聖地へ。27日の決勝戦は九州国際大付と戦うことが決まった。夏の大会に限れば、九国に勝利したのは1996年の準々決勝で11―8と乱打戦を制したのが最後。2011年は決勝で戦い、2-11で準優勝に終わるなど、2009年から3年連続で敗れた。昨年準々決勝でも4-10と苦手意識は否めないが、チームが変われば関係はない。今年こそ九国の壁を打ち破り、福岡の夏を制する。