■一ノ瀬翔舞が今大会初先発で7回無失点 夏こそ背番号1取り戻す
第154回九州地区高等学校野球大会は27日、佐賀市のさがみどりの森球場で決勝が行われ、明豊(大分)が神村学園(鹿児島)を6ー0で下し、9季ぶり3度目、春初優勝を飾った。
センバツ出場校対決となった注目の一戦。主役は背番号11の最速138キロ右腕・一ノ瀬翔舞投手(3年)だ。今大会初先発で、強打の神村学園打線を7回4安打無失点。1回戦のエナジックスポーツ(沖縄)戦、準々決勝の佐賀北戦で完投勝利を挙げたエース野田皇志投手(3年)、準決勝の鹿児島実戦で好救援を見せた寺本悠真投手(2年)に続く快投で、チームを九州王者へと押し上げた。
悔しい思いが一ノ瀬の原動力となっている。新チームの初陣となった昨秋の大分大会こそ背番号1を奪取したが、その後の九州大会では野田にエースナンバーを譲り、背番号10に降格した。
それでも、センバツがかかる大事な大会で全4試合に登板し、14イニングをわずか2失点と好投。磨いてきたスライダーが要所で決まり、準優勝に貢献した。
「真っ直ぐの球威は野田に100%負けていると思う。自分も真っ直ぐで押せるような投手になりたい」
そう誓って一冬を越し、迎えた今春センバツ。2回戦の高崎健康福祉大高崎(群馬)戦で先発したが、初回の立ち上がりを攻められ、いきなり2点を奪われるなど、4回2失点で降板した。チームも最後まで流れを引き戻すことができず、0-4で完敗。九州大会では、センバツの背番号10から11となったが、その悔しさをバネに、大舞台で最高の結果を残して見せた。
長崎県佐世保市出身。中学時代の2019年、テレビで見た奥川恭伸投手(ヤクルト)の圧倒的な投球が、甲子園を意識するきっかけとなった。
「一人だけプロみたいな感じでした。自分も安定している投手を目指してやってきたので尊敬しています」
迎える最後の夏。一ノ瀬は、安定感にさらなる磨きをかけて野田、寺本ら強力なライバルとのエースナンバー争いを制し、甲子園に残してきた忘れ物を取りに行く。