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閉会式でメダルを授与された優勝の青学大(右)と準優勝の早大

■攻撃陣が無死三塁で無得点…先発の鹿田好投に小宮山監督「引っ張りすぎて痛い目に遭いました」

 早大にとって、2つの「誤算」が勝敗を分けた。6月16日、全日本大学野球選手権決勝が神宮球場で行われた。青学大との頂上決戦は、「東京六大学vs東都」という、大学野球ファンにとってはたまらない一戦となった。

 早大は幸運な形で先制点を奪った。4回無死一塁、梅村大和(4年=早実)の犠打を、青学大捕手の渡部海(2年=智弁和歌山)が一塁に悪送球。さらにガラ空きの本塁を、一塁走者の小澤周平(3年=健大高崎)が陥れ、先制のホームを踏んだ。

 さらに本塁悪送球も重なり、無死三塁。ここで青学大は、先発の中西聖輝(3年=智弁和歌山)を諦め左スリークオーターのヴァデルナ・フェルガス(3年=日本航空)にスイッチする。最低でも2点目を追加し、早大が試合を優位に進めるかに思われたが、石郷岡大成(3年=早実)、吉田瑞樹(3年=浦和学院)と、8番、9番がまさかの連続三振。1番の尾瀬雄大(3年=帝京)も二ゴロに倒れ、この回1得点のみに終わってしまう。もちろん、ヴァデルナの好投を称えるべきだが、早大のベンチワークも含め、泥臭くもう1点を取りに行く姿勢が見られなかったのも確かだ。

 もう一つの誤算は、先発の鹿田泰生(4年=早実)の好投だ。小宮山悟監督が「あまりにも出来が良すぎた」と振り返ったように、初回2死一、二塁のピンチを切り抜けて以降、2、3、4回と、青学大の強力打線を三者凡退に退けた。

 鹿田は、今春のオープン戦で腰痛を発症。リーグ戦には3試合で5イニングしか投げていない。小宮山監督は「長くて3回。あとは小刻みにいこうと思っていた」というが、捕手の印出太一主将(4年=中京大中京)にも確認を取りながら、1点リードの5回も続投させることになった。

 鹿田は5回もマウンドに上がること「全く想定していなかった」という。

「後ろにいい投手がいるので、1イニング1イニングを最後だと思って投げました。(4回に先制して)勝ちは考えないようにやっていたんですけど、もしかしたら隙があったのかもしれません」

 先頭の松本龍哉(3年=盛岡大付)は、飛球に打ち取ったかに思えたが、遊撃の山縣秀(4年=早大学院)の守備範囲が広すぎるゆえ、中前まで追いかけた後、捕球することができず、二塁打にしてしまった。そして1死三塁から中田達也(3年=星稜)に右翼フェンス直撃の同点二塁打、さらに2死三塁で、藤原夏暉(3年=大阪桐蔭)に、初球を狙われ、中前適時打を浴びてしまう。結局この点が決勝点となった。小宮山監督は「引っ張りすぎて痛い目に遭いました」と鹿田の替え時を悔やんだ。

 無死三塁で2点目を取れなかった「誤算」と、投手起用を見誤って同点、そして2点目を許した「誤算」。2015年以来の優勝には届かなかった早大だが、もう視線は秋へと向かっている。

「日々の練習でもちろん練習はしてるんでしょうけど、真剣味が足りないということです。本番でそれがおぼつかないように。普段何やってんだと言われても仕方がない。それもひっくるめて指導不足というところです。パワハラにならない程度に指導します」

 小宮山監督は静かにそう言った。リーグ優勝の喜びもつかの間。早大は、地獄の夏を乗り越え、一回り大きくなった姿で秋に帰ってくる。

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