手軽に行える5人制野球が、にわかに注目を集めている。4月。韓国・ソウルで行われた「第2回 Baseball5(ベースボール5)アジアカップ 2024」で、侍ジャパンBaseball5代表チームが、決勝戦でチャイニーズ・タイペイに勝利し、初優勝を飾った。
今大会の結果に伴い、10月に香港で開催されるワールドカップへの出場件も獲得。「最優秀女性選手賞」に選ばれた六角彩子選手は、都内で行われた会見で「このチームなら負けないと思った」と振り返った。
ベースボール5の歴史はまだ浅い。2018年、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)によって、野球を原型として考案、競技化した新アーバンスポーツ。WBSCからは、野球・ソフトボールに次ぐ第3の競技として認定されている。
ルールは男女混合の5人制で、使用する道具はボールだけと、入り口の入りやすさも魅力。5人全員が13メートル四方の内野を守るが、投手はおらず、打者は自分でトスをしたボールを手の平か拳で打ち返す。5イニング制で、1試合20~30分とスピーディーな展開も魅力の一つ。グラブやバットも必要ない手軽さが受け、世界中でプレーヤーの数が広がり、次世代の五輪種目になり得る可能性を秘めている。
そのベースボール5にどっぷりとはまった甲子園優勝投手がいる。2011年夏の甲子園で日大三(西東京)で全国制覇を果たした吉永健太朗さんは、昨秋に自身のチーム「Hi5Tokyo(ハイ・ファイブ・トウキョウ)」を設立。今年2月には全国大会に出場し、4強まで進出した。
ただ、吉永さんは現状に満足はしていなかった。全国制覇と日本代表選出を花道に、プレーヤーからは一線を引こうと考えていたが、そのどちらも達成できずに軌道修正。2つの夢をかなえに、もう一年、懸命に腕を振る。
「今はチーム補強もうまくいっています。何とか2つをかなえたいですね」
かつての甲子園のスターは、新競技でも試行錯誤しながら、輝きを放っている。