日本高校野球連盟は、今夏の8月6日から開幕する第105回全国高校野球選手権大会のベンチ入り登録選手を現行の18人から20人に増枠することを決定した。これまでは地方大会まで20人で戦い、甲子園に出場すれば2人減らさないとならなかったため、選手選考において長く監督や部長の頭を悩ませていた。しかし、今回の決定によりメンバーを削る必要がなくなり、さらには投球制限をしいられている投手の頭数も増やせることになる。個人的には甲子園から2人増の22人にすれば、一度は高校野球を諦めたベンチ外の3年生の奮起も促せるため、近い未来にそれが実現すれば球児の未来はさらに開けるだろう。
高野連はさらに、暑さ対策の一環として、各試合の5回終了後に10分間の「クーリングタイム」を設けることも併せて発表。近年はコロナで練習不足のチームなどもあり、足がつったり熱中症で気分が悪くなる選手も見られるため、水分補給や休憩などを多めに取らせる措置は多いに歓迎できる。ただ、クーリングタイムだけでも4試合で合計40分かかるため、もし試合時間が長引けば、第4試合目は試合開始の時点でナイターであることが予想される。選手や運営側も大変なことは重々承知だが、1試合目の開始時間や、試合と試合の合間を早めたりする案も今後浮上するのではないだろうか。
そして今春センバツからはタイブレーク制が変更される。従来は延長13回から無死一、二塁で行っていたが、延長10回に早めた。真夏の炎天下の中、地方大会から含め十数試合戦う選手の故障を防止するためだが、それまで完璧に抑えていた投手が、0-0の延長戦に入った途端に走者を背負い、大量失点するケースなども出てくるだろう。オールドファンとしては、どこか味気ないと思うのもまた事実である。
タイブレークは2018年のセンバツから導入されたが、その大会で実施されることはなかった。甲子園では同年夏の第100回全国高校野球選手権大会1回戦、旭川大高(北北海道)-佐久長聖(長野)で史上初めて行われた。
4-4で延長戦に突入も、その後両チーム無得点。延長13回無死一、二塁から始まるタイブレークに突入した。試合が動いたのは延長14回表、佐久長聖がバント安打で無死満塁とし、二ゴロで1点を勝ち越し。その裏、旭川大高の攻撃を無得点で退け、記念すべきタイブレーク初勝利を挙げた。
初の導入から5年。タイブレークは2020年のコロナ禍で中止になった春夏大会を除く計8大会で7試合行われた。10〜12回までに終わった32試合を含め、延長戦は合計39試合。その全てが、今後はタイブレークに変わる。先に記した通り、それまで白熱した試合展開がタイブレークによってあらぬ方向に変わるケースも当然増えてくるだろう。
将来のある高校球児を故障から守るのも、当然大人の仕事である。ただ、過保護すぎるのも同じくらい未来を潰すことになり得ないだろうか。今回の決断が球児にとって英断であったと願いたい。