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帝京OBの元日本ハム・杉谷拳士さん

■杉谷拳士さんが観戦し「帝京魂」注入…自身が3年夏は4回戦敗退「帰りにファンタを買って飲んだ」

 東東京の名門・帝京が18日、第106回全国高校野球選手権東東京大会4回戦(神宮)で都城東に2-1と競り勝ち、5回戦へと駒を進めた。4回に4番の丹羽心吾(3年)が左越えに先制弾を放つと、同点の7回には、3番の奈良飛雄馬(3年)が決勝適時打を放ち、辛くも逃げ切り。今春の東京王者の意地を見せた。

 今春のセンバツから移行した低反発バットへの対応に各校が苦戦し、全国で有力校が敗退するケースが散見される。しかし、帝京は、今春公式戦全11試合で、2桁得点を6試合マーク。関東大会初戦の鹿島学園(茨城)戦では、1試合4本塁打を放つなど、3試合7発の強打で4強まで進出した。

 帝京は89年夏、92年春、95年夏と3度の全国制覇を経験するなど、一時代を築いたが、2011年夏を最後に甲子園からは遠ざかっている。名将の誉れ高い前田三夫元監督(現名誉監督)の後を受け、21年秋からチームを率いる金田優哉監督の下、13年ぶりの聖地にどこまで近づけるか、注目が集まる。

 母校の甲子園出場を待ち望むOBも多い。元日本ハムの杉谷拳士さんも、この日はスタンドから観戦。後輩たちに「帝京魂」を注入した。杉谷さんは、06年夏、2007年春夏と、3季連続で甲子園に出場。特に06年、1年夏の智弁和歌山との準々決勝、両校合わせて29安打25得点を記録した壮絶な乱打戦は、今なおファンの心に深く刻み込まれている。

 4-8で迎えた9回に8点を奪い大逆転も、その裏に5点を奪われ12-13でサヨナラ負け。杉谷さんは9回に緊急登板も、先頭打者に死球を与え、わずか1球で降板。結果的に敗戦投手となったのも、今ではいい思い出だ。

 ただ、最上級生となってからは、甲子園に出場することができなかった。ちょうど16年前の08年7月18日。同じ神宮球場で行われた東東京大会4回戦で関東第一に5-9と逆転負けし、自身の高校野球生活は幕を閉じた。

「高校3年間、炭酸飲料は禁止でしたが、帰りに神宮の自動販売機でファンタを買って飲んだことを覚えています」

 久しぶりに飲んだ炭酸飲料は、青春のほろ苦い味がした。後輩たちに味わってほしいのは、勝利のジュースだ。あと4勝。伝統のタテジマが東東京の山を登り切り、名門復活を果たした時、OBから祝福の差し入れが大量に届くだろう。杉谷さんも、その時を心待ちにしている。

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